百人一首には恋の歌が多いと言われているのは有名な話ですが、歌の意味が話題となったのは、百人一首を題材にした漫画「ちはやふる」でのシーンが理由ともいえます。ちはやふる 歌の意味に触れている場面もあるので、興味を持った方も多いのではないでしょうか。実際に恋の歌を歌っているのは43句もあるので共感を得られることも多いようです。今回はその中から片想いや両思いを歌った6つの歌を紹介していきます。
片思いで切ない恋の歌
百人一首の恋の歌でも漫画やアニメなど様々なところで歌が話題となることは非常に多く、特に片思いを描いた歌は先ほどあげたちはやふるでも多く紹介されています。さらに大人気アニメ名探偵コナンでは、映画のメインストーリーの内容に含まれるほど詳しく描かれたりすることもありました。それをきっかけに百人一首に興味を持った人もいるようで、日本語の美しい表現の仕方に注目が集まったりもしています。
アニメのキャラクターをきっかけに話題となった歌
最初に紹介するのは名探偵コナンの映画でも紹介されていた、平兼盛が詠んだ「しのぶれどいろにいでにけりわがこひはものやおもふとひとのとふまで」という歌です。百人一首では代表的な歌の一つで、恋心を悟られたくないのについ顔にでてしまうという、想いをひた隠しにしていても人に尋ねられてしまう程だという昔の歌でありながら共感しやすい心情を表した恋の歌です。
願った想いとは裏腹に切ない片思いの状況を表す
次に紹介するのは源俊頼が詠んだ「うかりけるひとをはつせのやまおろしよはげしかれとはいのらぬものを」という歌です。平安時代に盛んだった観音信仰で有名な長谷寺で、相手と仲良くなりたいとお祈りをしたのに、冷たく振り向いてもらえない悲しさを表現した恋の歌です。百人一首は片思いの切ない恋を歌った歌が多く、ほとんどは恋が実っていないことが多いです。その切ない表現が共感を得ているのかもしれません。
恋する気持ちを誰にも知られたくない想い
百人一首の恋の歌の中にはその気持ちを知られたくないと隠している気持ちを表現した歌があります。壬生忠見が詠んだ歌は「こひすてふわがなはまだきたちにけりひとしれずこそおもひそめしか」という歌で、世間に自分が恋をしているのを知られたくないという気持ちがありながらも、表情などから溢れてしまい噂が広がってしまうというのを詠っています。可愛らしさのある恋の歌に共感の声が多く集まっていました。
モテていた男性が初めて書いたラブレター
百人一首には当時モテていた人物も想い人には、直接ではなくラブレターを通して思いを伝えていました。藤原実方は「かくとだにえやはいぶきのさしもぐささしもしらじなもゆるおもひを」という歌を読んでいます。さしも草はヨモギのことでさしも草が燃えるような私の気持ちといった相当な感情を持ちながらも、その気持ちを伝えられない恋心を切なく詠った歌です。現代でも友達関係を壊したくないから想いを伝えないという人も多いのではないでしょうか。
結ばれても募る不安な気持ち
儀同三司母が詠んだ歌は「わすれじのゆくすえまではかたければけふかぎりのいのちともがな」という歌で新婚の頃に詠まれた歌です。一夫多妻制の通い婚であった当時に心変わりしてしまえば離縁もありえる時代に、愛されているのか不安になってしまうという気持ちが素直に詠まれている可愛らしい恋の歌です。現代の恋愛でも想いが通じあっていても、ふとした時に不安になるという気持ちがあるようで、素直な歌に共感しやすいとの声が多かったです。
困難に阻まれてもいつかは結ばれる
この歌は同じく名探偵コナンの映画で紹介された歌の一つである崇徳院の「せをはやみいわにせかるるたきがわのわれてもすえにあはむとぞおもふ」という歌です。浅瀬の流れが早く岩にせき止められて滝川は二手に別れても、いずれ合流するように今は別れていても行く末で再び会おうという意味が込められています。それぞれが想い合っていながらも様々な困難で引き裂かれてしまい、一緒になることが難しくても強い決意でいつかはという想いが、恋愛ドラマのようで魅力的に感じる人も多いのではないでしょうか。
まとめ
今回は百人一首の中でも多く詠まれている恋の歌を6つ紹介していきました。片思いなど切ない恋の歌は多くありましたが、意外と両思いを詠ったものは少なく感じました。音楽やドラマなどでも切ない表現が話題となることが多いように、必ず報われるわけではないというリアルさが共感を集めやすいのではないでしょうか。漫画やアニメでも和歌に触れている作品も多くあるので、気になった方は是非調べて自分の好きな歌を見つけてみてください。